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ギターの塗装

サイト消滅対策の避難データです:  ◆ギターの塗装の種類と特徴  ◆ヤマハWebサイト

オイルフィニッシュ以外の塗装メンテは、カルナバポリッシュYMAHAのラッカーポリッシュなど。


 

 

1)天然プラスチックの「シェラック(Shellac)」

インドやタイなどの熱帯アジアに生息する昆虫、半翅目ラックカイガラムシ科のラックカイガラムシ(Lac insect)の分泌液を分離生成したもの。ラック虫は「蚕」「ミツバチ」と並ぶ三大益虫としても知られる。

キシリトールガム(XYLITOL)やマーブルチョコレート、 チョコボール、酸に強い特性を生かして胃で溶けずに腸で溶ける医薬品のコーティング、電子部品の接着剤としても使用される。

耐摩耗性に優れ、すれてもなかなか削れず、油やアルコール以外の有機溶剤にも溶けない特性を持つ。この点はゴムに反応してしまうラッカーよりも優れていると考えられる。

ヤマハのHPによると、セラック塗装をタンポ塗したときの塗装の厚さは20ミクロン~30ミクロン、スプレーでニスを塗った場合は150ミクロン~300ミクロンとされ、通常は200回以上も塗り重ねる。

高級ギターでしか使われない理由は、このタンポ塗に熟練の技術が必要で、かつ時間がかかるため。塗るのが速くても乾かすのに時間がかかるため、乾かしてから微細サンドペーパーをかけては何回も塗り重ねるタンポ塗は時間がかかる。

水分と温度/湿度に弱く、高温や高湿度で再溶解するので注意。

半そでの服でギターを弾き続けたり、ギターと触れる汗をかきやすい胸の部分と塗装面の密着により、体温と汗で白濁することがある。また夏季に車の中に放置したりすると、高温変化から粘度が上がり、ギターケースの内側の毛がギターにくっ付くときがある。酒をこぼすとそのアルコールで溶解する。

なお、セラック塗装は比較的容易に塗り直しが可能。

 

2)ラッカー (Lacquer)

ヘルマン・ハウザーがこの塗装。

「ラッカー」の語源はセラックの原料となるラックカイガラムシ。

Wikipedia「ラッカー」:一般的には無色または着色された塗料の一種であり、溶剤を揮発させることによって乾燥すると硬くて耐久性の高い塗面を与え、磨き上げることによって非常に強い光沢と深みが得られる。

この定義では、漆も、上述のアルコールに溶かすセラックもラッカーの一種となるため、日本では家庭用品品質表示法により「ニトロセルロース」を主成分とするものをラッカーと定義。

このニトロセルロースは「セルロース」、つまり植物の繊維(細胞壁)を化学的に処理して作られる。1920年代に開発され、当初は主に自動車の塗装に使われた。

セラックのようにタンポ塗ではなくスプレーを使って一気に塗装が可能ながら、一気に厚く塗ってしまうと硬化不良を起こしやすく、薄く塗っては乾かしを繰り返す必要がある。

このため、セラックほどではないものの塗装に時間がかかり、高級な楽器にしか使われない。完全に硬化するまでに時間がかかるためバリバリにウェザークラック(ひび割れ)が入るときがある。

ラッカーは一見完全にかたまったように見えて実は完全に硬化するまでに時間がかかる。ハウザー3世さんんの話では「セラックは永久に乾かない」。

硬化するときは内部に含まれるシンナーが抜けていくため、徐々に塗装が縮み、最終的に割れる。これが上記のウェザークラック。

ラッカーはセラックに比べると汗に強い。しかし、石油系の溶剤で溶かして塗布するため、ゴム(石油系物質)とアセトンに弱く、ゴムに触れると化学反応を起こし溶解する。

これで怖いのがギタースタンドの滑り止め部分や一部のギター支持具。一晩で溶けるらしく、ゴムに触れたままの放置には注意が必要。

また、シンナーやアセトンで溶けてしまうので、マニキュアの除光液が付いた手でラッカー塗装のギターを触ったり、除光液をギターにかけないように注意。

 

3)ポリウレタン

ポリウレタン塗装がセラックやラッカーと違うのは、溶剤なしで硬化するという点。

2液型のポリウレタンと1液型のポリウレタンがあり、どちらも化学反応によって硬化する。

セラックやラッカーは溶剤に溶かし、その溶剤が揮発することで固まる。このため、再度溶剤とおなじようなものに触れると溶解する。これに対してポリウレタンは化学反応によって硬化するので一度硬化すると元に戻らない。

逆に言うと、溶剤で溶かして塗りなおすようなことはできない。このため、一度傷がつくと修復は難しく、塗装を削り落として再塗装するしかない。

ポリウレタンというと丈夫なイメージがあるが、実は塗装面は弾力があり柔らかいという特性がある。

このため、木材の伸縮に対しても強く、長期間にわたって美しい塗装面を保持できる。

また、ラッカーのように徐々に硬化するのではなく化学反応で一気に硬化するため、ウェザークラックのような変化が起きない。

ポリウレタンとというと厚塗りというイメージがあるが、ポリウレタン塗装そのものは重ね塗りによって厚さをコントロールでき、極薄に仕上げることも可能。

ホセ・ラミレスは、極薄に仕上げ上位の楽器でもウレタン塗装を採用。

ラッカーと同じくいきなり厚く仕上げると硬化不良を起こすため、ポリウレタンも塗り重ねる必要がある。しかしながら、硬化までの時間が速いため、すぐに次を塗ることができる。これが安いギターに使われる理由。

安いギターでは、塗り重ねる回数を少なくするために、一度に塗る厚さを厚くしているものと思われる。

 

4)カシュー

河野製作所ギターがカシュー塗装。海外のギターではカシュー塗装を見たことがない。

カシューナッツの殻に油分が含まれており、この中の「カルダノール」と「カルドール」樹脂が塗装の原料。

カシュー塗装は、特性が日本伝統の塗装である漆塗装とほぼ同じで、見た目も漆に近く、ふっくらとながら透明感の高い感じの見た目に仕上がる。

漆で厄介なかぶれるという症状が起きず扱いやすく、カシューは漆に比べ乾燥も速い。

特徴としては、漆とほぼ同じ程度の耐久性。

漆は漆器として食器に使われるほど水分に強く、耐摩耗性も高い。カシューも同じ。さらに薬品にも強く、石油系の溶剤やゴムにも反応しない。

また、漆以上に熱や日光にも強いそうです。熱やアルコールをあびても白濁しません。

塗装としても硬度が高くかつ弾力性が高いという特性があり、楽器の塗装としてもすぐれている。

毎日支持具のために吸盤を貼り付けてはがしてを繰り返しても塗装に影響が少ない。

 

5)木の触感を活かしたオイル塗装(オイルフィニッシュ)

ケヴィン・アラムがオイルフィニッシュ塗装。

オイルフィニッシュの特徴はとにかく薄い点。

これまで紹介してきた塗装は木の表面に塗料の膜(被膜)を作るため、手で触っても木の触感を感じることはできず、塗料の膜を触ることになる。これに対してオイル塗装は木材に油をしみこませる塗装のため、膜を作らず触ると木の凹凸がダイレクトに感じられる。

木の表面に被膜を作ると振動を妨げるという意味ではオイルフィニッシュは最も振動を妨げない塗装であるとも考えられる。一方、その薄さがゆえに塗装としての保護力は最弱で、耐摩耗性もほとんどないため容易に塗装が剥げる。また、被膜を形成しないため打痕が付きやすい。

湿度を遮断する能力も無く、湿度管理によい一層の注意が必要。特にネックが保護されていないので反りやすいと考えられる。

11月のある日(Un dia de Noviembre)

YouTubeに『11月のある日(Un dia de Noviembre)』というギター曲が多く見つかります。

演奏時間4分ぐらいの小品です。

作曲はキューバのギタリストであり、作曲家、指揮者、高名な教育者としてもよく知られているレオ・ブロウェル氏です。

https://www.youtube.com/watch?v=OCNfwkJuDFc

この曲の独特の情緒に魅力を感じ、あまり調べもせず楽譜を広げて弾いていたのですが、中間部で難しい所があり、皆さんがどのように弾いているのかYouTubeで様々な演奏を聴いてみました。

皆さん上手に弾いていて感心するのですが、中間部で変化をつけて元気よく弾くのが腑に落ちないので、調べてみました。

 

曲名は映画の題名「Un dia de Noviembre」だそうです。

レオ・ブロウェル氏が音楽を担当したそうです。1972年のキューバ映画で、作曲は1976年、公開は1978年です。

当時のキューバ社会の矛盾と苦境を誠実に描こうとした本作は完成後、封切りにふさわしい時期ではないとの判断から公開を延期。6年後の1978年11月28日にようやく公開」参照:https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-11957578859.html

 

映画の全編はYouTubeに見つかりました。原語です。

https://www.youtube.com/watch?v=XYnL3YjjYhA&t=40s

上の画像の右側、腕を組んでるのがブロウェル氏


映画でこの曲が流れるのは3ヶ所。

23m30s - 25m10s

53m30s - 55m09s

1h04m40s - 1h06m13s

 


ピアノによる演奏もあります。この曲は鳴っている音が少ないですから、表現力が優るギター演奏に軍配が上がりますね。ピアノは一音一音の表現力に劣る分、音楽の作りというか、曲の骨格が浮き彫りになるので、ギターで弾くときの参考になります。

動画ではなく音のみですが、作曲者自身の演奏が以下。ラテンアメリカらしい気風が感じられます。曲の出だしからドライですから途中で変化を付けても違和感が無いです。これが曲中の速度変化の理由なんでしょうね。

https://youtu.be/dCiap9-GY0w?si=SXAxscx9DHujNt70,br.

上記の録音のピッチが高かったので、440Hzに直したところテンポが少し落ち着きました。ついでに高温ばかりが強調されていたので低音も少し上げ音割れヶ所に対応して全体の音量を下げた mp3 が以下です。

BrouwerPlaysUnDiaDeNoviembre.mp3

 

以下は遊びで弾いている作曲家自身の様子です。手の故障で演奏活動を止めるまでギターの名手として世界中に名を轟かせた巨匠の片鱗が伺えます。

https://www.youtube.com/watch?v=pqdSKNA4TdA

楽器の違い

セゴビアのレッスンでお弟子さんから「セゴビア先生のギターは名器だから音が違う」と言われたときに、お弟子さんの楽器をセゴビアが手に取り、弾いたビデオテープがあります。

つまりセゴビアは、楽器以前に鳴らし方や弾き方が大切なことを示したわけで、楽器の鳴らし方を知らない人の弱音と、制御された繊細な弱音の間には大きな差があることを思い知らされた録画でした。

セゴビアが弾くと、お弟子さんのヘボ楽器が艷やかな響きで見事に音楽を紡ぎ出したわけですが、最近はその動画がYouTubeにあるのではないかと思います。見付けたらアップデートして貼り付けますね。

 

以下の動画は一人で6本のギターを次々と持ち替えての演奏です。響きは同じ指の一人の演奏家の音で統一性があり、その上で楽器による音の違いも確認できて興味深いです。ワルカー、セゴビア、ブリームなどの巨匠とは次元が違うとは言え、素晴らしい名演ですね。

◆ 1) 1964 Manuel de la Chica

マヌエル・デ・ラ・チーカ(1911グラナダ-1988グラナダ)

1930年代後半から製作を開始1970年代初めに体調不良の為引退。他のグラナダの製作家とは異なる楽器を生んだのは、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサやアメリカに移住する前のセウドニオ・ロメロ等との親交から、サントス・エルナンデス等の名器に触れる機会が有ったことからと考えられる。

◆ 2) 1996 Ignacio Fleta e hijos

イグナシオ・フレタ・エ・イーホス

イグナシオ・フレタⅠ世(1897年スペインのウエスカ生)はハウザー、アグアドと並び称されるバルセロナのギター製作家。13才でバルセロナに上京しフランス人弦楽器工房で修行。当初はチェロ、ヴァイオリン制作家だったが、1950年にセゴビア演奏レコードに感動し、1955年頃から息子のフランシスコ(1925年生)とガブリエル(1929年生)と共にクラシックギター製作を始め、1962年頃からラベルが、それまでの「Ignacio Fleta Barcelona」から「Ignacio Fleta e Hijos」に変わり2人の息子との共作となる。彼らのギターは独自の製作方法で作られ、重厚で輪郭のはっきりとした、芯のある美しい音が知られる。現在は三代目ガブリエルJr.。セゴビアやジョン・ウィリアムス、トリビオ・サントスが弾いたことから一気に世に知られるようになった。演奏者を問わずしっかりとした豪快な鳴りにも関わらず清潔感もある。バルセロナのような海辺で制作された楽器は表面板が割れやすいので湿度管理に留意が必要。

◆ 3) 2014 Roy Fankhänel(ドイツ)

http://fankhaenel-gitarrenbau.de/

◆ 4) 2014 Bernd Holzgruber double top

ベルント・ホルツグルーバー(1939ヴェルデン、オーストリア)

オーストリア Velden am Wörther See のギター製作家。1968年にカール・シャイトのクラスでウィーン国立音大の卒業コンサートを自作ギターで演奏。19世紀ギターから近代ギター、その他の撥弦楽器を研究し多くのレプリカを制作。

◆ 5) 2014 Keijo Korelin double top

http://keijokorelin.com/

◆ 6) 1999 Ignacio Fleta e hijos

イグナシオ・フレタ・エ・イーホス

イグナシオ・フレタ(1897年生)が1955年セゴビアの演奏を聴いて感動し、息子のフランシスコ(1925年生)とガブリエル(1929年生)と共にクラシックギター製作に専念。彼らのギターは独自の製作方法で作られ、重厚で輪郭のはっきりとした、芯のある美しい音を持つ。現在は三代目ガブリエルJr.。

 

現在のギター制作の始まり

今回はギター楽器の制作史です。古典派時代に生まれたギターという楽器は、19世紀後半に入ると徐々に音楽史の表面から消え去り、スペインの民衆音楽フラメンコの中で生き続けます。

そんな中でアントニオ・トーレスが、19世紀ギターよりも一回り大きく、形状をフラメンコギターから採用した音量のある楽器を制作したのが現在のギターの原型とされてます。

上記YouTube動画で扱われている「エルナンデス・イ・アグアド」と呼ばれるギターは、マヌエル・エルナンデスとアグアド・ロドリゲスの二人によって製作された銘器です。

  • サンチャゴ・マヌエル・エルナンデス(Santiago Manuel Hernandez) の呼び名で知られるSantiago Diaz Martinez(1895トレド近郊の Valmojado~1975)
  • ビクトリアーノ・アグアド・ロドリゲス (Victoriano Aguado Rodriguez 1897Madrid~1982)

彼らは、職場だったマドリードのピアノ工房で知り合い、良き友人となったそうです。二人で工房を立ち上げた当初は家具やピアノの修理、その後ギター製作を手掛けるようになりました。

製作は、エルナンデスがギター本体の製作を受け持ち、アグアドがニス塗り、ヘッドの飾りや細工を施して、全体の点検だったそうです。

1950年にギター専門工房としてスタートしたときの1本目をNo.100として1974年最後の作品No.454まで連続して355本製作されています。もちろん、ギター専門工房を始める前からもギターを製作しており、1924年の製作番号No.1のギターから始まり、何本製作したかは定かではありませんが、全部で400本以上製作したことは確かみたいです。

また、これ以外にも工房ブランドとしてのギターもあるようです。実際、何本かサインやシリアルナンバーがないエルナンデス・イ・アグアドのラベルが貼られているギターを見たことがあります。

ちなみに、最初のシリアルナンバーNo.1と最後の No.454のギターが、茨城県八郷町のギター文化館に展示されてます。

身体が不自由だったアグアドは、晩年の1970年頃から実際の製作には携わらず、エルナンデスは、娘婿であったヘスス・ベレサール・ガルシア (Jesus Belezar Garcia 1920~1986)と一緒に製作していたようです。

おそらく、この1972年のギターも、アグアドは設計において携わったかもしれませんが、実際の製作は、エルナンデスとガルシアが行ったものだったようです。

 

以上http://home.h00.itscom.net/shiokawa/hernandezyaguado.htmlhttps://www.siccasguitars.de/shop/guitar/hernandez-y-aguado-1961/から。

wurden gute Freunde, die nach der Produktionseinstellung ihres Arbeitgebers ihr eigenes gemeinsames Unternehmen gründeten, welches sich zunächst mit der Restauration von Möbeln und Pianos beschäftigte. Eher zufällig landeten die beiden beim Gitarrenbau, als der begeisterte Amateurgitarrist Victoriano Aguado Rodriguez zwischen 1945 und 1948 zwei Gitarren zum persönlichen Vergnügen baute, die eines Tages schicksalhafter Weise den Weg zu Regino Sainz de la Maza – zu der Zeit Professor für Gitarre am Real Conservatorio in Madrid – fanden, der das Talent der Freunde erkannte und sie ermunterte, weitere Gitarren zu bauen. Als um 1948 Modesto Borreguero, der vorher in der Werkstatt des berühmten Gitarrenbauers Manuel Ramirez gearbeitet hatte, zu ihnen stieß, begannen Manuel Hernandez und Victoriano Aguado Rodriguez sich mehr und mehr auf den Gitarrenbau zu konzentrieren – mit enormem Erfolg. Bald verkauften sie Gitarren in die ganze Welt, sogar an die thailändische Königin Sirikit. Bedeutende Künstler wie John Williams, Julian Bream und Atahualpa Yupanqui spielten „HyA“-Gitarren.

以下は上記ドイツ語からの機械翻訳:

独自の合弁会社を設立し、当初は家具とピアノの修復を扱っていました。 偶然ではなく、熱狂的なアマチュアギタリストのビクトリアノアグアドロドリゲスが1945年から1948年の間に個人的な楽しみのために2本のギターを製作したとき、2人はギター製作に行き着きました。マドリッドのRealConservatorioで–友人の才能を認め、彼らにもっとギターを作るように勧めました。 有名なギターメーカーのマヌエル・ラミレスのワークショップで以前働いていたモデスト・ボレゲロが1948年頃に彼らに加わったとき、マヌエル・ヘルナンデスとビクトリアノ・アグアド・ロドリゲスはますますギター製作に集中し始め、大きな成功を収めました。 彼らはすぐに世界中でギターを販売し、タイのシリキット女王にも販売しました。 ジョン・ウィリアムズ、ジュリアン・ブリーム、アタウアルパ・ユパンキなどの重要なアーティストが「HyA」ギターを演奏しました。 

トーレス制作のギターはタレガが弾いたことでよく知られてますが、タレガの弟子であり唯一の後継者とされるリョベートもトーレスを弾き、最近はそのリョベートが弾いた3本のトーレスのうち2本目を福田進一さんが弾いてますね。


タレガにせよリョベートにせよ演奏技術が高かったので、トーレスを弾きこなすのは並大抵のことでは無いのがよくわかります。

また、Fソルが弾いたフランス19世紀を代表する制作家ラコートは、近代楽器のトーレスと比べ全く別の楽器と考えたほうが良さそうです。

エンデチャ・オレムス

この曲「エンデチャ・オレムス」は、小品ながらフラシスコ・タレガ(Francisco Tárrega:1852/11/21 - 1909/12/15)の名曲として知られてます。

以下は、ギター弾きの間では良く知られていることですが、メモとして記しておきますね。

Tárregaの綴りは「r」の文字が2つ続くことから、日本では「ターレガ」「タルレガ」などとも呼ばれてます。 

エンデチャ・オレムスは、タレガによって別々に作曲された Endecha(哀歌)と、Oremus(祈り)の2曲がまとめられて1ページの楽譜として出版され、2曲続けて演奏されるので、エンデチャ・オレムスで一曲のごとく扱われます。

「エンデチャ」も「オレムス」も両曲共にまるでメモのような数行の小品ながら、ギターの魅力がよく表現され、左右の指使いの難易度も低いので、初心者の発表会などで弾かれることが多いです。

もちろん美しく演奏するのは並大抵のことでは無く、「melody」「harmony「rythmus」の基礎の上にディナーミク(dynamik)の表現、そしてアゴーギク(独 Agogik)とアーティキュレーション(articulation)、フレージング(phrasing)、テンポ・ルバート(伊 tempo rubato)についての分析、さらに、歴史と地理的民族的な様式など、理解できれば何でもない当たり前のことが、わからなければ最後まで気付くことが無いという厄介な問題に引っかかってしまうことが多いです。

因みにテンポ・ルバートについての記述はモーツアルトが最初だったずです。

「1909年、12月2日、バルセロナにて遺作となる『オレムス~Oremus(祈り)』を作曲。 楽譜に日付を記した直後、12月3日未明に気分が悪くなり、
12月15日、静かに息をひきとり、本人の遺志により故郷のカステリオンに埋葬されました。」https://chitarra.rossa.cc/history/his11.html

作曲家の遺作と言われる「オレムス」の語源はラテン語で「Let us pray/祈り」の意だそうです。WikiPedia「Oremus (Tárrega)」

上記WikiPediaによるとタレガ作オレムスの原曲は、シューマンのピアノ作品だそうです。 「transcription of the second section of Robert Schumann's Phantasietanz, Op. 124, no. 5.」

このシューマンの原曲を聴いてみると、ピアノらしい音の繋ぎ方が感じられますが、メロディを浮き立たせるのが難しいためか、演奏されることは稀なようです。動画のピアノ演奏からはシューマンらしい精神障害に悩まされた葛藤や、天性の感性に突き動かされた情熱が感じられます。

タレガは原曲のピアノ曲からシューマンの美しい感性を汲み取り、ハイポジションの3度と6度の連続によるギターの魅力溢れるメロディに見事に変化させてます。

参考ページ:
https://www.delcamp.biz/viewtopic.php?t=510

 

Josef ZUTH「Handbuch der Laute und Gitarre」

Josef ZUTH著「Handbuch der Laute und Gitarre」PDFファイルがパブリックドメインで公開されてました。

ヨゼフ・ツートのギター辞典

このヨゼフ・ツートのギター辞典は、ギター関連の調べ物をするときの定番です。ドイツ語が難しくないので助かります。引っ越しで諦めた膨大な書籍の中の一冊でしたが、絶版で入手不可能ですから見つかって嬉しいです。

因みに音楽辞典は世界最大の「Die Musik in Geschichte und Gegenwart」です。

ギターの音合わせ問題

ギターのチューニングについて第3段です。


サドルの切り方が3弦だけ異なる方向に斜めカットしてある楽器を時々見ます。気になっていたのですが、以下ページに詳細が出てました。目からウロコです。工房ミネハラさんありがとうございます。

 

画像をクリックすると詳細説明ページに跳びます。

ギターの音合わせ

ギターの調弦がボクは苦手です。

弦のゲージ(太さ)が均一でないと、基音と倍音の音高が違うし、ときにはサドルやナットの調整不良から響きに音程の幅が生まれるときも多いです。

それから、ギターのフレットは、オクターブ内を均等に12分割してそれぞれの音に割り付けた平均律で打ってあるのに比べて、完全音程は倍音から割り振った純正律ですから、完全8度/完全5度/完全4度の純正律で調弦したときに、フレットによって割り振られた平均律と微妙なずれが生じます。特に完全5度は純正律と平均律の誤差が大きかったと記憶してます。

以下は純正律と平均律の違いの説明です。
https://www.youtube.com/watch?v=yWVWyfzEdIA


ハーモニックスは純正律です。12フレットと5フレットはオクターブですから基音との誤差はありません。7フレットのハーモニックスは基音から完全音程で(オクターブ上の)5度高い響きですから、平均律より高い音が出ます。

以下動画はわかりやすいです。目からうろこです。
https://www.youtube.com/watch?v=MrMClrUfGeA

12平均律はオクターヴをそれぞれ100セントの12の半音に分割したものですから、半音が100セント、全音が200セント、オクターブは1200セントです。

振動数を表すヘルツ(Hz)では、オクターブは2倍数の振動数です。

※参照: Hzとセントの単位の関係

 

英米式音名の A4 音を 440 Hz とすることが定められたのは,1939年,ロンドンにおける国際会議でのことでした。

それまでの基準周波数は,1885年にウィーンの会議で決められた 435 Hz で,それ以前は国際基準は存在しなかったようです。

※参照: 一般社団法人 日本音響学会

 

一般的にギターの調弦で使う音高は1弦の5フレットが440Hzです。ところが、ウィーン国立音大のピアノはウィーンフィルと同じ444Hzで調律されてます。オーケストラは、公演の始まり時よりも、終演時は会場気温と湿度の変化の影響なのか、音が数ヘルツ高くなると言われてます。ややこしいです。。。

こんなに楽しい

これは、手放しで楽しめました! 一体どんな楽譜なのでしょうね。

この二人はこの曲をアンコールで弾くことが多かったらしく、複数の動画が見つかります。他の動画を見ると同じ指輪をしてるので、この後結婚されたようです。お幸せに!

アントニオ・ラウロ

20世紀の中南米ギター作曲家は多いですね。キューバのレオ・ブローウェル、アルゼンチンのアストル・ピアソラ、ベネズエラのアントニオ・ラウロ、ブラジルのビラ・ロボス、パラグアイのアウグスティン・バリオス

このYouTube演奏は巨匠エヴァンゲロス・アッシマコプーロスが弾くアントニオ・ラウロの作品です。

 

その他の参考ページ:中南米ピアノ音楽研究所

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