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ギターの塗装

サイト消滅対策の避難データです:  ◆ギターの塗装の種類と特徴  ◆ヤマハWebサイト

オイルフィニッシュ以外の塗装メンテは、カルナバポリッシュYMAHAのラッカーポリッシュなど。


 

 

1)天然プラスチックの「シェラック(Shellac)」

インドやタイなどの熱帯アジアに生息する昆虫、半翅目ラックカイガラムシ科のラックカイガラムシ(Lac insect)の分泌液を分離生成したもの。ラック虫は「蚕」「ミツバチ」と並ぶ三大益虫としても知られる。

キシリトールガム(XYLITOL)やマーブルチョコレート、 チョコボール、酸に強い特性を生かして胃で溶けずに腸で溶ける医薬品のコーティング、電子部品の接着剤としても使用される。

耐摩耗性に優れ、すれてもなかなか削れず、油やアルコール以外の有機溶剤にも溶けない特性を持つ。この点はゴムに反応してしまうラッカーよりも優れていると考えられる。

ヤマハのHPによると、セラック塗装をタンポ塗したときの塗装の厚さは20ミクロン~30ミクロン、スプレーでニスを塗った場合は150ミクロン~300ミクロンとされ、通常は200回以上も塗り重ねる。

高級ギターでしか使われない理由は、このタンポ塗に熟練の技術が必要で、かつ時間がかかるため。塗るのが速くても乾かすのに時間がかかるため、乾かしてから微細サンドペーパーをかけては何回も塗り重ねるタンポ塗は時間がかかる。

水分と温度/湿度に弱く、高温や高湿度で再溶解するので注意。

半そでの服でギターを弾き続けたり、ギターと触れる汗をかきやすい胸の部分と塗装面の密着により、体温と汗で白濁することがある。また夏季に車の中に放置したりすると、高温変化から粘度が上がり、ギターケースの内側の毛がギターにくっ付くときがある。酒をこぼすとそのアルコールで溶解する。

なお、セラック塗装は比較的容易に塗り直しが可能。

 

2)ラッカー (Lacquer)

ヘルマン・ハウザーがこの塗装。

「ラッカー」の語源はセラックの原料となるラックカイガラムシ。

Wikipedia「ラッカー」:一般的には無色または着色された塗料の一種であり、溶剤を揮発させることによって乾燥すると硬くて耐久性の高い塗面を与え、磨き上げることによって非常に強い光沢と深みが得られる。

この定義では、漆も、上述のアルコールに溶かすセラックもラッカーの一種となるため、日本では家庭用品品質表示法により「ニトロセルロース」を主成分とするものをラッカーと定義。

このニトロセルロースは「セルロース」、つまり植物の繊維(細胞壁)を化学的に処理して作られる。1920年代に開発され、当初は主に自動車の塗装に使われた。

セラックのようにタンポ塗ではなくスプレーを使って一気に塗装が可能ながら、一気に厚く塗ってしまうと硬化不良を起こしやすく、薄く塗っては乾かしを繰り返す必要がある。

このため、セラックほどではないものの塗装に時間がかかり、高級な楽器にしか使われない。完全に硬化するまでに時間がかかるためバリバリにウェザークラック(ひび割れ)が入るときがある。

ラッカーは一見完全にかたまったように見えて実は完全に硬化するまでに時間がかかる。ハウザー3世さんんの話では「セラックは永久に乾かない」。

硬化するときは内部に含まれるシンナーが抜けていくため、徐々に塗装が縮み、最終的に割れる。これが上記のウェザークラック。

ラッカーはセラックに比べると汗に強い。しかし、石油系の溶剤で溶かして塗布するため、ゴム(石油系物質)とアセトンに弱く、ゴムに触れると化学反応を起こし溶解する。

これで怖いのがギタースタンドの滑り止め部分や一部のギター支持具。一晩で溶けるらしく、ゴムに触れたままの放置には注意が必要。

また、シンナーやアセトンで溶けてしまうので、マニキュアの除光液が付いた手でラッカー塗装のギターを触ったり、除光液をギターにかけないように注意。

 

3)ポリウレタン

ポリウレタン塗装がセラックやラッカーと違うのは、溶剤なしで硬化するという点。

2液型のポリウレタンと1液型のポリウレタンがあり、どちらも化学反応によって硬化する。

セラックやラッカーは溶剤に溶かし、その溶剤が揮発することで固まる。このため、再度溶剤とおなじようなものに触れると溶解する。これに対してポリウレタンは化学反応によって硬化するので一度硬化すると元に戻らない。

逆に言うと、溶剤で溶かして塗りなおすようなことはできない。このため、一度傷がつくと修復は難しく、塗装を削り落として再塗装するしかない。

ポリウレタンというと丈夫なイメージがあるが、実は塗装面は弾力があり柔らかいという特性がある。

このため、木材の伸縮に対しても強く、長期間にわたって美しい塗装面を保持できる。

また、ラッカーのように徐々に硬化するのではなく化学反応で一気に硬化するため、ウェザークラックのような変化が起きない。

ポリウレタンとというと厚塗りというイメージがあるが、ポリウレタン塗装そのものは重ね塗りによって厚さをコントロールでき、極薄に仕上げることも可能。

ホセ・ラミレスは、極薄に仕上げ上位の楽器でもウレタン塗装を採用。

ラッカーと同じくいきなり厚く仕上げると硬化不良を起こすため、ポリウレタンも塗り重ねる必要がある。しかしながら、硬化までの時間が速いため、すぐに次を塗ることができる。これが安いギターに使われる理由。

安いギターでは、塗り重ねる回数を少なくするために、一度に塗る厚さを厚くしているものと思われる。

 

4)カシュー

河野製作所ギターがカシュー塗装。海外のギターではカシュー塗装を見たことがない。

カシューナッツの殻に油分が含まれており、この中の「カルダノール」と「カルドール」樹脂が塗装の原料。

カシュー塗装は、特性が日本伝統の塗装である漆塗装とほぼ同じで、見た目も漆に近く、ふっくらとながら透明感の高い感じの見た目に仕上がる。

漆で厄介なかぶれるという症状が起きず扱いやすく、カシューは漆に比べ乾燥も速い。

特徴としては、漆とほぼ同じ程度の耐久性。

漆は漆器として食器に使われるほど水分に強く、耐摩耗性も高い。カシューも同じ。さらに薬品にも強く、石油系の溶剤やゴムにも反応しない。

また、漆以上に熱や日光にも強いそうです。熱やアルコールをあびても白濁しません。

塗装としても硬度が高くかつ弾力性が高いという特性があり、楽器の塗装としてもすぐれている。

毎日支持具のために吸盤を貼り付けてはがしてを繰り返しても塗装に影響が少ない。

 

5)木の触感を活かしたオイル塗装(オイルフィニッシュ)

ケヴィン・アラムがオイルフィニッシュ塗装。

オイルフィニッシュの特徴はとにかく薄い点。

これまで紹介してきた塗装は木の表面に塗料の膜(被膜)を作るため、手で触っても木の触感を感じることはできず、塗料の膜を触ることになる。これに対してオイル塗装は木材に油をしみこませる塗装のため、膜を作らず触ると木の凹凸がダイレクトに感じられる。

木の表面に被膜を作ると振動を妨げるという意味ではオイルフィニッシュは最も振動を妨げない塗装であるとも考えられる。一方、その薄さがゆえに塗装としての保護力は最弱で、耐摩耗性もほとんどないため容易に塗装が剥げる。また、被膜を形成しないため打痕が付きやすい。

湿度を遮断する能力も無く、湿度管理によい一層の注意が必要。特にネックが保護されていないので反りやすいと考えられる。

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