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ロマン派

  • 2023/12/22 15:38
  • カテゴリー:芸術

ヨーロッパでは、イギリスから始まった産業革命がヨーロッパ大陸に浸透するにつれて、新しく生まれた中産階級が勃興します。この市民階級の民衆が、それまでの王侯貴族の生活や宗教のシガラミから開放されるにつれて、それまで無かった一般庶民の文化を生み出してゆきます。

これが、壮麗、豪華、過度な強調のバロックとの決別に繋がり、フランス革命に代表される歴史の大きな変化を生み出します。つまり、中世時代の混沌から脱したルネサンスや、その源泉とも言える古代ギリシア時代への回帰です。今から2百数十年前のことでした。

因みに古代ローマ文化は古代ギリシア文化をそっくり継承してます。言葉が古代ギリシア語から古代ローマのラテン語に変化しただけです。ゼウスがユピテル(英:ジュピター)、アポロンがアポロ(英:アポロ)、アテナがミネルウァ(英:ミネルヴァ)などです⇒ウィキペディア

この中産階級の文化は、最初のうちは、王侯貴族への憧れもあってギャラント様式ロココ様式のような、それまで培われてきた華やかなバロック文化の影響が残った過渡期の様式も見られましたが、その後はそれまでの難解な文化よりも、単純明快でわかりやすい古典的なものが主流になってゆきます。

この変化は、中産階級の中でもブルジョアジーと言われる富裕階層の文化が、徐々に一般庶民へと幅広く浸透していった結果の表れだろうと理解してます。

音楽なら、難解なポリフォニーから単純明快なホモフォニーへの移行であり、庶民にもわかりやすい夢や表面的な華やかさの追求結果と捉えてます。

この動きが、ドラマの時代と言われたバロックから、音楽の時代と言われた古典派、さらに文学の時代と言われたロマン派への変化へと繋がってゆくことになります。

ビーダーマイヤー画家カール・シュピッツヴェーク

ロマン派の時代は19世紀半ばから後半と考えられますが、例外も散見され、初期には音楽と文学とのコラボでドイツ歌曲を生み出したシューベルトや、シラーのテキストとのコラボにより生まれたシンフォニー「第9」で知られるベートーベン、さらに南米などでは後追いの形で現在に至るまでロマン派の傾向が残ってます。

子供の情操教育には夢に溢れるロマン派の文学が良いですね。 

ロマン派の産物としては、遠い昔に想いを馳せたグリム兄弟に代表されるメルヘン、ヨーロッパと異なる文化への憧れから生まれた漂流記や旅行記、または理解のし易い身近な生活に密着した内容の文学です。もちろん、このような傾向は文学だけでなく絵画や音楽にも見られます。

音楽においても、このような時代の影響から文学との融合という試みが始まります。ベートーベンの第9はその先駆けとも考えられます。ロマン派の典型的なものは、音楽では交響詩や楽劇であり、一般庶民の生活に密着した民衆劇、さらに大きな流れとしては歴史主義や民族主義の台頭へと繋がってゆきます。

関連:ビーダーマイヤー様式

高崎守弘

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