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ギターの乾燥対策

  • 2022/02/12 01:36
  • カテゴリー:その他

クラシックギターの表面板の割れについて、ギター製作家の佐藤剛さんから教えていただきました。

クラシックギターの表面板は三味線やティンパニーと同じように四方が固定されてます。隙間があると音が前に跳ばないはずです。

ですから、乾燥により板が収縮すると、板の強度の限界点でどこかに隙間が生まれます。これが表面板の割れです。


独特の柔らかい響きで知られる高級ピアノのベーゼンドルファー社の整音士さんの話では、ピアノにとっては湿度50%以下が推奨だそうです。人の生活環境との譲歩を加味しても、湿度が60%ぐらいで音の抜けが無くなってしまうので、楽器の近くに植木鉢を置くのも、より良い響きのためには避けるべきとのことでした。

クラシックギターはピアノに比べて板の容積が小さく、弦の聴力を太い鋼鉄の枠で支えているわけでもないので、耐性が劣るのは容易に想像できます。

乾燥してないと鳴らないし、乾燥により楽器が壊れてしまうので、除湿と加湿が必要になってきます。

 

①湿度計は相対湿度
https://empex.co.jp/support/thfaq/thfaq.htm
②相対湿度と絶対湿度
https://weathernews.jp/s/topics/202002/280095/


木材の含水率は温度の影響は少なく、相対湿度により決まります。温度により空気中の水分量が異なるというのは絶対湿度の話ですが、木材の含水率は相対湿度で決まるということです。ですから、温度に関係なく湿度計の湿度を40~60%にしていれば問題ないはずです。

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木材の平衡含水率は気温と相対湿度に一致している状態で、木材の含水率は安定した状態です。木材の平衡含水率は空気中の絶対湿度ではなく、相対湿度により決まりますので注意が必要です。

木材の湿度特性


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気温10°で91%まで湿度を上げていても、電気ストーブなどの湿度を上げる機能の無い暖房器具で30°まで暖房したら、湿度が28%まで下がるので楽器に良くない。(高橋政一)

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膠の接着強度だけを見ると日常生活の温度や湿度では劣化は殆ど発生しないと言えます。
例えば湿度のみを取り出せば90パーセントを越えると溶け始めますが、現実的には接着層がその湿度を越える事はかなり劣悪な環境下に長期間置かなければ起きえません。

従って特別過酷な状態でも無いのに駒が飛ぶ様な場合は何らかの事情で接着不良があったか、長期間に渡っての木材の伸縮の影響で外れたと考えられます。

前者の場合は膠を煮込む時に温度が60℃を越え加水分解したり、雑菌が混入して劣化が生じた事によって起こり、後者は駒材と表板の収縮度の差から部分的な浮きが生じ、時間と共に広がる事によって起きます。

また、後者の木材の動きによる原因で起こる故障は駒だけで無く、力木剥がれもあります。
これは力木は長さ方向に伸縮しないのに対し表板や裏板は幅方向に伸縮が起こる為に発生すると考えられます。

何れにせよ、膠は楽器自体が湿気の影響で伸び縮みした際に一緒に多少伸縮する可能性を考えると、比較的楽器に無理な負担がかからない接着剤と言えます。湿度管理は50から60パーセントの範囲内にしておく事が望ましいと言えます。

(製作家 尾野 薫)


6.夏期は気温や湿度で膠(にかわ)の接着がよわくなるのですか
https://www.auranet.jp/salon/maintenance/mainteqa/

 

以下ページは「温度と相対湿度から(容積・重量)絶対湿度を計算するツール」です。

https://www.2x6satoru.com/article/ab-humidity.html

このページ内のグラフを見ると、摂氏15度と25度では空気中に含むことのできる水量が倍ぐらい違います。

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