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グレゴリオ聖歌

グレゴリオ聖歌の特徴は「無伴奏」「単旋律」「ラテン語」です。飾りっ気の有無以前に、華やかさとは無縁の存在です。

グレゴリオ聖歌発生時の西ヨーロッパは、巨大建築なら東ヨーロッパビザンチン帝国繁栄の裏付けとも言える大きな丸い天井を支えるペンデンティブ (Pendentive)ドームによるギリシア十字様式を含む中央集中型が主流でした。

その他の多くの建造物は、元々ヨーロッパに広がっていた原生林の開墾で入手した木材で天井を形成した長方形の建造物でした。

ヨーロッパにおける原生林の開墾は、もっぱらベネディクト派やシトー派に代表される修道会の布教活動を伴った動きによります。

発生当初のグレゴリオ聖歌は、巨大な石像空間が珍しかったことを想像すると、せいぜい数十メートル規模の空間に響くことが多かったことが想像されます。

後に生まれるロマネスク建築やゴシック建築のような巨大な石造建築とは空間の大きさも音の響きも異なる環境でした。

石灰岩を積み上げた左右の壁の上に梁を乗せ、その上に木造の天井と屋根を構築した建造物です。または、フランスなどではグレゴリオ聖歌にガリアつまりケルト音楽の影響が残っていることから壁と天井共が木造だった可能性もあります。

 

1億年ほど前に海中から隆起して生まれたのが現在のヨーロッパ大陸ですから「ヨーロッパは石灰のプレートの上に乗っている」という表現は言い得て妙です。

海洋プレートが沈降しマリアナ海溝が生まれたのと同じような動きですが、ヨーロッパの方は下に潜り込むのではなく隆起したわけです。これをアルプス造山運動と言うそうです。そのため、今でも隆起しているイタリア半島の南部には活火山があり、度々地震に見舞われます。情け容赦のない、しかし、どのような毬よりも美しい地球の息遣いの姿です。

https://youtu.be/Mo8upbtGKNk

グレゴリオ聖歌は、長年ローマ法皇グレゴリウス1世が編纂したとされ、呼び名にもなってましたが、最近は、カロリング朝時代に成立という学説も出てます。いずれにせよ、グレゴリオ聖歌が西洋音楽の源泉であることに異を唱える学者は居ないと思います。

それ以前は祈祷時に鳴らされた単純な音、世界最長の歴史文化を持つ日本なら、たとえば銅鐸を鳴らしたり鈴を鳴らしたり笛を吹いたり、唸ったり程度で西洋でも似たりよったりだった筈です。もちろん、そのようなものが芸術音楽としての西洋音楽に繋がるかどうかについては、疑問があると思ってます。

そうでなければ、ターザンの叫び声のような、いわゆる信号音としてのヨーデル程度でしょう。ちなみに車の騒音の無かった古代ローマ時代はヨーデル信号で数キロの距離を連絡していたようです。その他には狼煙とか、大きな鏡で丘から丘へのチカチカ信号だったそうです。「ゲルマン人が攻めてきたぞー♪」ってな感じだったと思われます。

西洋社会、西ローマ帝国の国境には数キロごとに砦が置かれてました。ゲルマン民族との境は2本の大河で、縦軸はライン川、横軸はドナウ川でした。

グレゴリオ聖歌には長調と短調の元になった教会旋法が使われており、現在の五線譜の前身4線譜のネウマ譜で記されてます。

https://cloudhymnal.org/view/781/kyrie-mass-ix-cum-jubilo

個人的には、グレゴリオ聖歌は、歴史と様式つまり時代背景を思うと、飾りっ気の無いソレム修道院の「ソレム唱法」がふさわしいと感じてます。指揮も手のひらをユラユラと舞わせると塩梅が良いようです。

高崎守弘

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