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ベートーベン晩年のピアノソナタ

半世紀以上になってしまった昔話ですが、中学生のときに安価な輸入盤LPレコードでブレンデルの「皇帝」を見つけ購入したのが初めてのピアノ演奏のレコードでした。

それからベートーベンのピアノ演奏と言えばブレンデルという程に彼の演奏に親しんできました。

その価値観が覆されたのがこの演奏でした。美しく粒が揃ってはっきりと鳴り響くブレンデルの響きと違う次元の音で、忘れられないコンサートになりました。1987年の秋、会場は Wiener Konzerthaus 大ホールでした。

因みに楽友協会にしてもコンツェルトハウスにしても歌劇場にしてもウィーンのコンサート会場は上部席よりも平土間の方が音が好きです。

https://www.youtube.com/watch?v=0vSPicBhjfA&t=83s

最晩年のベートーベンの作品は全く耳が聞こえず、本来は密集和音ではなく開離和音で記すべきが、耳で響きの確認ができなかったがためにハイドンとかモーツアルトのような密集和音で記されてます。

ベートーベン後期の作品を再現芸術として演奏するときには、記された楽譜が密集和音でも、ショパンやリストのように各声部が分離して綺羅びやかに響くように演奏すると美しいのですが、これがベートーベンの後期ピアノソナタ演奏の難しさだろうと思ってます。

ノーペダルのモーツアルト弾きとして知られていたピアニストのルドルフ・ゼルキン氏は、ベートーベン最晩年のピアノソナタ再現にあたってこの問題に真正面から挑んでます。音が舞い上がり、キラキラと輝いて美しいです。この演奏を凌ぐベートーベンのピアノソナタに触れたことがありません。航空力学的には不可能とされる「熊ん蜂の飛翔」を想起させてくれます。

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